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秋コレ。夫婦の好みが鍵となった!?美術館のコレクション形成の裏側とは…?

秋の香りが漂い、爽やかな風が心地よい季節がやって来ました。今回はそんな季節にぴったりな《積み藁》という作品を紹介いたします。描いたのは印象派を代表する画家アルフレッド・シスレー(1839−1899)です。1889年、フランスの小さな村であるモレ=シュル=ロワンに移り住んだシスレーは、その生涯を終えるまでの約10年を風光明媚なこの地で過ごしながら風景画を描き続けました。初期には暗い色彩を使って風景画を描いていたシスレーでしたが、徐々に明るい色彩を使って爽やかな青空や清澄な光の表現が成され、本作でもその傾向がうかがえます。

アルフレッド・シスレー《積み藁》1895年 公益財団法人諸橋近代美術館 蔵

今回ご紹介した作品は、当館で現在開催中の展覧会「コレクション・ストーリー −諸橋近代美術館のあゆみ−」に出品されています。重厚な構図と色彩を好んだ当館の創立者・諸橋廷蔵に対して、華やかな色彩と爽やかな画風を好んだ廷蔵の妻は、この《積み藁》の収集を強く希望したそうです。このように諸橋近代美術館の多彩なコレクション形成の裏側にはさまざまなエピソードなどがあり、本展では作品とともにコレクション経緯をご紹介しています。モロビ(モロハシキンダイジュツカン)のバックグラウンドが知れるこの機会をぜひお見逃しなく!