くら〜い、くら〜い、美術館のなぞ。
美術館で作品を鑑賞しているとき「くらいな〜」と感じたことはないでしょうか?正直、もっと明るい方が鑑賞しやすいですよね。では普段の私たちの生活とどのぐらい違うのでしょうか?
居間で読書をするときに推奨される照度は500ルクス(※1)程度といわれています。(※2)しかし、作品に当てることができるのは油彩画などで150〜180ルクス、非常に光に敏感な水彩画や素描などで50ルクス。日常生活よりもだいぶ暗めの値が推奨されています。(※3)
日常生活と比べるとだいぶ差がありますよね。絵画は光に弱く、長い時間つよい光にさらされると退色や変色を引き起こしてしまうことがあります。日常生活で見かける身近な例でいえば、色が白っぽくなったポスター…あれも光が引き起こした劣化によるものです。そんなことから作品への負担を軽くするために美術館の展示室内は暗いのでした。
ダリの作品をこの先も美しい状態で長く楽しんでいただくために、美術館の役割である「活用」と「保存」を両立させながら、相反する二つの役割の両立させる努力をしていきます。美術館の「くらいな〜」はこれからも続きますが、何卒ご了承ください。
※1 ルクス(照度の単位):光が照らしている面の明るさの度合い
※2 JIS照明基準総則(JIS Z9110-2010)より
※3 ICOM(国際博物館会議)(1977)の基準より
<写真の説明>照度計(写真中央):センサー(白い丸い部分)に光が当たるとモニターに照度が表示されます。作品を展示する際は照度計を使用して作品1つ1つにとって適正な照度となるようにスポットライト等を調光し、調整します。