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ふで箱の中身?DIYの道具?いえいえ、学芸員の仕事道具です。

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学芸員に聞いてみた〜その1〜

「どんな風に使うのか教えてください!」

「展示作業や作品のコンディションをチェックをする際などに使用する道具です。具体的な使い方をお教えいたします。」

①手袋
作品に手の脂や指紋をつけないようにするため、手袋を着けて作業をします。作品の形状や材質などによって、ゴム手袋と木綿の白手袋を使い分けます。

②ライト
作品点検の際に使用します。様々な方向から光を当てることで、作品の傷や付着物が見えやすくなるため、作品点検には欠かせない道具です。

③ピンセット・ポリ袋
作品点検時、作品から剥がれ落ちた絵具の欠片が見つかることがあります。それらをポリ袋に入れ、いつ、どの作品の、どの箇所から剥がれたか記録し保管します。

④刷 毛(はけ)
これで作品の埃を取り除きます。特に展覧会後は絵画作品の額縁に埃が溜まっていることがあるため、刷毛で丁寧に取り除いていきます。

⑤ルーペ
作品の表面の細かい構造や傷、汚れなどを拡大して観察します。展示室に仕掛けた虫トラップにどんな虫がかかっているか確認する際にも使用します。

⑥ブロアー
作品に付着した埃やゴミを除去するために使用します。細かい溝や壊れやすく刷毛などで触れられない箇所の埃も除去することができます。

メジャー
作品や展示台などのサイズを測ったり、キャプションの位置を決める際の計測に使用します。

色鉛筆
作品点検の記録は作品のすぐそばで行うため、作品を傷つける可能性があるボールペンは使用しません。必要に応じて色分けができる色鉛筆で記録します。

⑨クロス
絵画作品の表面を保護しているガラス板やアクリル板が汚れている場合は、繊維が付着しにくいクロスで拭き取ります。

↓①〜⑧の道具がどんな風に使われているのかご覧ください↓


学芸員に聞いてみた〜その2〜

「作品点検ってどんなことを見てるんですか?」

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「作品点検では、作品をライトで照らしながら隅々まで観察し、傷や汚れが無いかを確認します。作品にライトで様々な角度から光を当てることで、表面の亀裂や剥がれた箇所だけでなく、絵の具の厚塗りやニスが塗られている箇所もよく見えるようになります。もし異変があれば、該当箇所を撮影するとともに、専用のレポートに詳細に記録します。過去の記録と見比べることで、新しい損傷がないか、あるいは過去の損傷が進行していないかを確認しています。大きな損傷があれば、専門家に修復を依頼することもあります。展示されている時よりもより細かく作品を見ることができるのも点検の面白いところです。」

以上、今回は学芸員の仕事一部を紹介させていただきました。