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ダリが与えたショックとは?大きな雲、蟻、貝。ダリ愛溢れる表現、ハッケン!

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▷ 渡辺武《祈り》1938年 板橋区立美術館蔵

渡辺武はダリの影響を受けていたと思われる画家の一人です。彼が参加していた同人グループ「ジュンヌ・オム」ではメンバーの多くがダリ風の作品に制作しており、渡辺が描いた本作もそんなダリの影響を色濃く感じさせる作品です。彼方には地平線が広がり、平野には表情の見えない人物が何人か描かれています。
とりわけ大きな雲は、よく見ると人の横顔のようにも見えます。これはダリが得意としたダブル・イメージ(二重像)という手法を用いたものです。さらに画面を細かく見ていくと平野には白い貝のようなものがポツリポツリと描かれ、白いドレスを着た女性の視線の先には蟻が群がっているように見えます。平野に転がる貝や、群がる蟻というモチーフもダリの作品に度々登場するモチーフです。
本作では構図だけでなく、描かれている様々なモチーフもダリの作品に頻出する表現と多く重なっており、渡辺がいかにダリに傾倒していたかがうかがえます。1945年に若干29歳で戦死してしまった渡辺が、当時どんなダリの作品を目にしていたかは想像することしかできませんが、本作からはダリのオマージュともいうべきダリへの敬愛の想いが感じられます。

本作品がご覧いただける展覧会「ショック・オブ・ダリ」6/27まで開催!

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▷ サルバドール・ダリ《無題(風景)》 1947年 諸橋近代美術館蔵


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